景気の気(2) [経済考]
高度経済成長期の景気を支える労働力として、団塊の世代は大いに貢献した。地方から首都圏へ集団就職の人たちは金の卵ともてはやされ、就職はまさに売り手市場だった。
団塊の世代が好景気のスタート地点で職に就いたのは幸いだったと言わざるを得ない。
生産性の向上に寄与し、消費にも大いに貢献して未だかつてない好景気を招いた。
この基盤を築いたのは、恐らくは戦前生まれの人たちであると思われる。
この2つの要素が偶然にしても非常にうまく合致した時代だった。
当時の経済の基盤を築いたこの人々と、戦後教育を受けた人々は明かに広く人間的(人間力)な差があるように思っている。
例えてみると、戦国武将と江戸末期の田舎侍(言い過ぎか)ほどの緊張感の差があるように思う。
教育と景気の直接的関係はよく分からないが、感覚的に関係は大いにあると考える。
昨今の起業率などの低迷も無関係とは言えまい。
高機能・高品質は依然として日本製品の独壇場であったが、この延長上の次期製品はより高機能、高密度実装を指向し、より高級な高価な製品となった。
新興国でも戦後の日本と同じ路を歩み始めると、当時の日本と同じように売れ筋の製品のコピーモデルが氾濫してきた。品質的には日本製品と比較にならない劣悪なものだったが、低価格である程度売れた。(いまはゲームマシンの売れ筋製品を除いてコピーモデルは多くはない。)
売れ続けることで徐々に新興国のメーカーにも技術が蓄積してくると品質、価格で競争力を持つようになった。
これにより、日本製品の高品質・高機能・高密度実装製品と安価・低品質・見た目ブラインド品が競合が始まった。
これを見て日本製品はコスト低減を図り、低価格化にチャレンジした。
かつてはカリスマ的個人の才能で生み出されてきた製品も徐々にそうした人材がなくなり、グループで取り組むことになった。
これは新しいチャレンジであり、この切り替えはリスクがあった。
仮のリーダーは曖昧を通すことで全体をまとめることが易いことと認識していた。
が、新興国の高品質化がより早かった。日本製品の競争力は急激に落ちた。
この中で戦略があったのか不明だが、ここは失敗したと見るべきだろう。
いま、世界の目はかつての日本を見る目と違う印象で見ている。苦労の末に築き上げた信頼(ブランド)を自ら破壊し、これがあるべき姿だと内向きなベクトルで耳を塞ごうとしている。
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この状態で「気」を入れ直して景気を好転させるのは難しいと思わざるを得ない。
日本の総意として貿易収支を黒字化する方法を創出しなければならないと思うがどうだろうか。
暗い重い空気感(気)を吹き飛ばせる材料と、それを巧み、十分に扱えるマジシャンのような何か、あるいは何者かが不可欠ということになるんだろうか。
さて、誰がこの大任を受けるのだろうか。
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