- 経済考
そういう観点で「ペッパー」を見ると、技術的には非常に難しいとされる二足歩行ではないし、見た目の愛らしさも他と明かな優位性はないように思う。
後発と言えるこのペッパーの立ち位置は、人工知能技術を取り込み、感情エンジンにより、より人間の思考、感情ロジックに近づいたということだろう。
孫社長は「今日この日が、百年、二百年、三百年後に、『コンピューターがあの日から変わった』といわれる歴史的な日になる」と語ったということだが、同感だ。
細い直線道路から交差点にでて、大きく広い道路に出たということだと理解した。
拍手喝采「ソフトバンク」
いま、家庭内も含めておおよそ存在している製品は単機能である。ここへ来てネットワークに接続して各機器の連携を指向したシステム製品も提案されつつある。
「ペッパー」のようなロボットの出現によって、彼(彼女)がハブになり、あらゆる製品を操作することになるだろう。人間が楽しんで使用する範疇は残るだろうが、大半はいま音声リモコンで機器を操作するように「ペッパー」に命令するだろう。
そうなると、例えば家電で考えると人間にとって使いやすいものというより、「ペッパー」のようなお手伝いさんにとって使いやすいものも出現しても不思議ではない。
また、冷蔵庫は食材を調理して食すという目的の一部、「食材を保管する手段」という単機能だが、「ペッパー」がいると調理済みの料理を要求することになるのだろう。
そうなるといまの製品という分割の理論性もかわるだろう。
こんな「ペッパー」が通信キャリアーのソフトバンクからデビューしてきたのも驚愕に値する。
常識にがんじがらめのメーカーから生まれてこなかったことは本人(ペッパー)は喜んでいることだろう。
だって今後の成長過程を考えると素直に育ちそうだ。
米国のGoogle社で開発された携帯情報端末用OSは有名な「アンドロイド」だが、これは人型のロボットを示す名詞らしい。
このGoogle社も2013年にロボット関係企業7社を買収するなどし、ロボット技術分野への事業化を目指している。
この分野での制覇があらゆるものの中心に位置し、そこから改革が始まるであろうことを見ていることは間違いないだろう。そのときのロボットは「アンドロイド」?
すでに日本のメーカーはスマホやデジタル機器などでは主導権を明け渡した状態に甘んじている。
いまある製品の何世代さきに来るであろう真の理想ロボットとそれを中心におく全体システムの主導を世界に先駆けてとって欲しいものだ。
そのためには企業間の垣根を跳び越えた協業が必要かと思うが、日本では難しいかな。。。